新学習指導要領で高校生の国語はどう変わった?大学入学共通テストへの影響は?

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令和4年度に高校に入学した生徒から、新しい学習指導要領で学ぶことになり、大学入学共通テストも令和7年度試験以降、新しい学習指導要領に対応した試験となります。

「論理国語」「文学国語」「国語表現」「古典探究」など新しくなった国語の科目で取り扱われる文章や、授業時数、大学入学共通テストがどう変わるのかを紹介します。


新しい学習指導要領の特徴

現在の小・中・高等学校における国語教育の課題

小・中・高等学校の国語科の課題については、文部科学省発行の『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説』で次のように示されています。


次に、これらの課題を踏まえた新しい学習指導要領の内容をご紹介します。

改訂によって育成を目指す資質と能力とは?

文部科学省の解説によると、高等学校の国語科で育成を目指す資質・能力は「国語で的確に理解し効果的に表現する資質・能力」とし、教科の目標は「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」の三つの柱となっています。


三つの柱に沿った資質・能力の整理を踏まえ、「話すこと・聴くこと」「書くこと」「読むこと」の3領域および「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」で構成していた内容を、「知識及び技能」及び「思考力、判断力、表現力等」に構成しなおしています。

新設された科目の構成と学習内容

今回の新しい学習指導要領の改訂では共通必履修科目として「現代の国語」「言語文化」、選択科目として「論理国語」「文学国語」「国語表現」「古典探究」となっています。


共通必履修科目の「現代の国語」「言語文化」は、高等学校の国語科の課題を踏まえて新設されています。 共通必履修科目を2科目新設した理由として、これからの時代に必要とされる資質・能力を明確にした科目として設定することにより、高校国語科の課題の解決を図るとしています。


また、選択科目については、共通必履修科目「現代の国語」「言語文化」で育成された能力を基盤とし、「思考力・判断力・表現力等」の言葉の働きを育成する科目として「論理国語」「文学国語」「国語表現」がそれぞれ新設されました。 さらに「言語文化で育成された資質・能力」のうち「伝統的な言語文化に関する理解」をより深めるため「古典探究」が新設されています。


各科目ではどんな文章が取り扱われる?

「現代の国語」

  • 現代の社会生活に必要とされる論理的な文章及び実用的な文章


「言語文化」

  • 古典及び近代以降の文章とし、日本漢文、近代以降の文語文や漢詩文 などを含める

  • 我が国の言語文化への理解を深める学習に資するよう、我が国の伝統と文化や古典に関連する近代以降の文章を取り上げる

  • 必要に応じて、伝承や伝統芸能などに関する音声や画像の資料を用いることができる


「論理国語」

  • 近代以降の論理的な文章及び現代の社会生活に必要とされる実用的な文章

  • 必要に応じて、翻訳の文章や古典における論理的な文章などを用いることができる


「文学国語」

  • 近代以降の文学的な文章

  • 必要に応じて、翻訳の文章、古典における文学的な文章、近代以降の文語文、演劇や映画の作品及び文学などについての評論文などを用いることができる


「国語表現」

  • 必要に応じて、音声や画像の資料などを用いることができる


「古典研究」

  • 古典としての古文及び漢文とし、日本漢文を含める

  • 論理的に考える力を伸ばすよう、古典における論理的な文章を取り上げる

  • 必要に応じて、近代以降の文語文や漢詩文、古典についての評論文などを用いることができる

各科目の標準時間数

各科目における領域別の授業時数については、答申に高等学校の国語教育の課題として「話合いや論述などの『話すこと・聞くこと』、『書くこと』の領域の学習が十分に行われていないこと」が示されたことなども踏まえ、1領域のみの「古典探究」を除く全科目において、〔思考力、判断力、表現力等〕における各領域の授業時数を示しています。

特に、「書くこと」の時間が多く取られていることから、大学入学共通テストで一度は見送られた記述式の問題が、今後取り入れられる可能性が考えられます。


高校の学習へはどう影響する?

新しい学習指導要領では、これまで一つの科目で扱ってきた評論と文学を、別々の科目「論理国語」「文学国語」などで教えることになったため、どの科目を選択するかという点が話題になっています。 大学入試では評論の出題割合が高いため「論理国語」を選ぶ高校が多いのではないかと言われていますが、「文学国語」を選択しない場合、長年親しまれた定番小説に触れることがないまま卒業する生徒がいる可能性も指摘されています。


一方で、経済協力開発機構(OECD)が実施する国際学力調査(PISA)では、2015年の調査で読解力の平均点が低下、その後の調査でもさらに下がりました。 原因として、文章を丁寧に読み解き、登場人物の心情をくみ取っていくという、多くの人が慣れ親しんできた「教材の読み取りが指導の中心」の国語の授業が原因とされ、文部科学省は高校の新学習指導要領で「実社会での活用」に大きくかじを切り、国語の科目を再編することとなりました。


国語教諭のあいだでは、感性や情緒が育まれ、表現力や思考力の土台になる文学を授業で扱わないことは考えられないという意見もあります。 1年生の授業だけで古典と小説の両方を学習することは難しく、頭を抱えています。


大学入学共通テストへはどう影響する?

現段階では大きな変化は認められないものの、2020年度以降実施の共通テストでも、複数の文章を関連付けて答える設問や、新学習指導要領の趣旨を踏まえた問題作りがなされています。

大学入試センターは、2024年度(令和7年)実施より国語の試験時間を90分とし、「多様な文章を提示し、より思考力・判断力・表現力等を発揮して解くことが求められる問題を重視した出題を一層工夫していく観点から、問題量を増やす検討をしていると発表しています。


このことから、今後、2024年度以降に実施の大学入学共通テストは新学習指導要領の趣旨を踏まえた入試対策が必要となってきます。